若い頃のように推し活を楽しみたいけれど……肩・腰・膝がつらい
最近、20代の頃に追っかけていたバンドが25年ぶりに再結成した。誕生日を迎えたばかりの私にとって、最高の誕生日プレゼントだ。
とはいえ、50歳の誕生日だからあまりありがたくもないのだけれど……。
再結成のお披露目も兼ね、競技場を使った大規模な野外コンサートが開かれるという。グッズも購入したいと考え、午前中からライブ会場へと向かった。
楽しみではあるが不安もある。
ライブ自体は純粋に楽しみだ。不安は、自分自身の体力――それだけである。
私は、一般事務の仕事をしている。パソコンを使ったデスクワークがほとんどで、平日は朝から夕方まで座りっぱなしだ。
ずっとパソコンに向かって作業をしているせいか、慢性的な肩コリを抱えている。それに加え、最近では腕を上げるのがつらくなってきた。
また、近頃はコロナ禍もあって、リモートワークも増えたから、家からまったく出ずに一日を終えることもある。座りっぱなしで腰のハリもひどい。また、あまり歩かない生活になったせいで、膝に違和感も覚えるし足の筋力が落ちているのではないかという不安がある。
若い頃のようにライブの間、ずっと立っていられるのか、というのも不安のひとつだ。
案の定、数時間、物販の列に並んだだけでヘトヘトになってしまった。
若い頃なら、これぐらい全然何ともなかったのに……。
平日の肩コリや、腰のハリが取れていないまま会場に来たのがいけなかったのだろう。
こんなことでは、ライブが始まっても楽しめないし、手拍子も無理。手を振ることもできないのではないか? いや、そもそもライブの時間、立っていられるかどうかもあやしい。
やはり、ライブ配信チケットを購入して家で応援すればよかった。もう若い頃のような体力は自分にはないのだ。年齢相応の楽しみ方をすればよかった。
なかば後悔しつつ、近くのベンチに腰掛ける。
溜息を吐きながらコリのひどい肩や腰を揉んでいると、突然、声を掛けられた。
セラミックバン――ビサの遠赤外線とフェライト磁石がコリと血行にはたらきかける
「ねえ、もしかして……幸代じゃない? 久しぶりね、私、綾子よ、覚えてる?」
「え?」
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには昔の推し活仲間が立っていた。
相変わらず元気そうだし、若い頃と変わらずスタイルも良く、綺麗だ。
バンドが解散した頃から変わらぬ若々しさで、時の経過を感じさせない。
確か、同じ世代だと聞いていたのに、どうしてこんなに差があるのだろう?
「ねえ、元気? ……では、なさそうね。いったい、どうしたの?」
「実は恥ずかしながら年のせいか肩コリや腰のハリがひどくて……。グッズを買うために物販の列に並んで立ちっぱなしだったから、膝もガクガクになっちゃったの。もう、若い頃と違うのね。このままだと本番のライブ自体、楽しめないかもしれないわ。綾子は昔と変わらず元気そうね。ふだんから身体を鍛えていたの?」
「いえ、そうじゃないの。実はね、私もちょっと前までは、あなたと同じように肩コリも腰のハリもひどかったわ。誰だって同じよ。年を取ると共にガタはくるわよね。でもね、これを使うようになってから変わったの」
そう言いながら、綾子はバッグから何かを取り出した。
「それは何?」
「これは、『セラミックバン』と言うの。これ、1シートあげるから、コリのつらいところに貼ってみて。セラミック化されたビサとフェライト磁石がコリと血行にはたらきかけて、改善してくれる作用が期待できるの」
「ビサ……? ごめんなさい、初めて聞いたわ、ビサって何なの?」
「ビサというのは、深海の堆積層に含まれた天然素材で、特定波長域遠赤外線(※)を放射しているの。身体を温めてくれる作用が期待できるのよ」
(※)特定波長域遠赤外線
ビサが放射する遠赤外線は8.0〜14.0μ m(ミクロン)の波長域を持ち、放射率は90%以上です。これは、ビサを36°Cに温めた状態での測定結果です。この波長域は人体の奥深くまで届くことから「特定波長域遠赤外線」と呼ばれています。
「フェライト磁石……というのは?」
「フェライト磁石は、50ミリテスラの磁力を発してコリにはたらきかけてくれるのよ」
そんなものでコリやハリが改善されるの?
そんな疑問が顔に出てしまったのだろうか。
「『セラミックバン』は、医療機器として認証されている商品なのよ。だから、騙されたと思って使ってみて。ライブが始まる前にトイレに行って、違和感のあるところに貼ってきたらどう? 肩や腰、膝にはたくさんツボがあるの。押してみて他の場所より痛いと感じるところがツボだから、そこに貼ってみて」
「うん。ありがとう、使ってみるわ」
グッズを買うため早めに会場に来ていたので、ライブの開演までまだ1時間以上も時間がある。
再会を約束し綾子と連絡先を交換した私は、トイレの個室で違和感のある肩や腰、膝にセラミックバンを貼った。
「こんなのを貼るだけでこのコリが改善されるならありがたいんだけど……、とりあえずライブの間だけでも、立っていたいものだわ」
自分の席に着いて、パンフレットを眺めているうちに1時間ほどが経過した。
間もなく開演だ。
会場に流れるSEのボリュームが小さくなり、開演前のアナウンスが流れる。
「いよいよだ」と立ち上がった時、身体の軽さに驚いた。
「え……? なんだか、身体が温まっている? さっき『セラミックバン』を貼った辺りがポカポカしてる……。腰や膝が楽になっているような気がするわ。これなら、ライブの間、ちゃんと立っていられるかも……」
SEが途切れ、大好きだったバンドのメンバーがステージに現れる。
「わぁっ、懐かしい……!」
ステージの彼らに向かって思い切り手を振りたい、手拍子をしたい……。
そんな思いから、自然と両手が上がった。
「え……?」
いつもなら手を挙げる時には、違和感がある。
しかし、「セラミックバン」のおかげだろうか。今日は、コリを気にせず両手を挙げることができた。
その日は2時間ほどのライブを、最後まで脱落することなく立って応援することができたのだった。
感動した私は、終演後、さっそく綾子にSNSでお礼のメッセージを送った。
「どうもありがとう! おかげでライブを最後まで楽しめたわ」
セラミックバンでつらかった肩・腰・膝のコリが改善、足取りも軽く野外フェスにも参戦
「セラミックバン」の使用感をすっかり気に入った私は、自分でも購入し、継続して使ってみることにした。
――そして、1ヶ月。
今日は、綾子と共に野外フェスの会場を訪れている。
その後、「セラミックバン」を使い続けたおかげで、肩コリや腰のハリ、膝の違和感は随分と軽減された。
以前は、仕事が終わると疲れて何もする気が起きなかったけれど、コリや血行が改善されたせいか、仕事後もまだ動ける余力が残っている。
「それならば」と体力をつけるためにウォーキングや軽い筋力トレーニングをするようになった。
軽い運動を続けられたのも、「セラミックバン」のおかげだ。落ちていた筋力も少しずつ取り戻せていると感じる。
「この前は、『セラミックバン』のことを教えてくれて、本当にどうもありがとう。もう、年のせいで手を真上に挙げることなんてできないって諦めていたのに夢みたい。あの時は、実は、ライブに来たこと自体後悔し始めていたのよ。あの日、綾子に再会しなかったら、きっともう配信で十分だって思って、もう二度とライブに参加しなかったんじゃないかしら」
「そうだったの?」
「ええ。綾子のおかげで、腰や膝のコリも改善されたわ。自分の足で歩いて、こうやって野外フェスにまで参加できるようになるなんて、夢みたい」
「力になれたみたいで嬉しいわ。確かに、この前会った時より顔色もいいわね。めぐりが改善されたのかしら」
「きっとそうね。『セラミックバン』を貼ったところがポカポカと温まっている感じがするもの。肩コリも改善されたことだし、今日も若い頃のように思いっきり推しに向かって手を振るわ」
「そうね、そうしましょう」
「あ、今日は、お礼におごらせてね。『セラミックバン』のおかげで、行列する人気屋台だっていくらでも並んで待てるから。私、買って来るわ」
「え、本当? 私、フェス飯も楽しみだったんだけど、いいの?」
「当たり前じゃない。それぐらい。お礼させてよ」
「ありがとう。来月からは一緒に地方への遠征も楽しみましょう。若い頃とは違うだなんて諦めず、若い子たちに負けずに楽しみましょうよ。だってリモート配信じゃあ、推しから手を振り返してもらうことも期待できないわよ」
「うん、確かにそうよね」
年を取ると共に、いろいろなものを諦めなければならないと思い込んでいた。でも、そんなことはなかったようだ。
綾子と二人、ステージに向かって思い切り手を振った。
※この物語は使用した方々の感想を元に作成したフィクションであり、作中の登場人物や団体名はすべて架空のものです。また、効果の感じ方には個人差がございます。