ブレディみかこ、おっさん、それからビール(前編)

 
ブレディみかこ、おっさん、それからビール(前編)

ブレディみかこ、おっさん、それからビール(前編)

おしるこスタッフが日々の気づきを呟く「おしるこ日和」。
おしるこ世代の毎日がちょっと楽しく、ちょっと便利になるお役立ち情報をご紹介!
12月…2021年のゴールテープも近づいてくる今日この頃。
スタッフ田中は「今年の目標『年10冊本を読む!』」を達成しようと慌てて読書中。
本を読んでいると、何やら気づきがあったようで…

ブレディみかこさんが描く「イギリス」の変化

みなさん、こんにちは。すっかり寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

私は、ブレイディみかこさん著の「ワイルドサイドをほっつき歩け〜ハマータウンのおっさんたち」 というエッセイを読了したところです(あと1冊で今年の目標『年に10冊本を読む』達成です!)。

ブレイディみかこさんは、2020年の春、多くの賞を受賞し話題になった「僕はイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー」の著者です。

「僕はイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー」が多様性の中で揉まれながら頑張る子供たちを描いているA面だとすれば、「ワイルドサイドをほっつき歩け〜ハマータウンのおっさんたち」は、労働者階級で奮闘する愛すべきおっさんたちを描いたB面といえるくらい、こちらも隠れた名作です。

今のイギリスの労働者階級のおっさん(この本を読み終えた後は、中高年の男性を愛を込めておっさんと呼びたくなります)の実情を面白く、たまにシリアスに描いているのですが、ここ数年で、イギリスの労働者階級のおっさんたちは健康志向になっているとのことです。

「パブでビール」はイギリス文化を語る上で欠かせないものです。

高級百貨店が主催する英国展で、おしゃれで上品な紅茶やスコーン、カトラリーが並ぶ中、パブの定番、フィッシュ&チップスとビールも平然と同じ列に並ぶくらいですから。

しかし、ビールを飲みまくりパブを繁盛させていたおっさんたちが健康志向になっていくために、パブの軒数はどんどん減り、ビールの消費量はどんどん下がっているようです。

おっさん曰く、「ビールよりも〇〇!」

えっ、じゃあおっさんは何を飲むの?

どうやらおっさん達は、ビールの代わりにグリーンスムージーを飲んでいるらしい。
スムージー…なんとなく丸の内OLが朝ごはんの代わりに飲んでそうな、「美容と健康第一」の代名詞的存在。
なぜビールからグリーンスムージーに??

イギリスのおっさんがグリーンスムージーを手に取った背景には、イギリスの医療制度の変化にあります。

イギリスの医療制度は日本と違い、無料で診療を受けることができるNHS(国民保健サービス)と、診療費を全額負担しなければいけないプライベート病院の2種類があります。

となると、もちろんNHSを選ぶに決まっているのですが、年々このNHSで診療を受けることは難関大学に合格する並に難しくなっているとのこと。(言い過ぎ?)

その背景には、2010年頃から始まった緊縮財政で、NHSに使っていた予算を大幅に削減したことが挙げられます。

というのも、1990年から始まった医療費全員無料の制度が、急激にイギリス政府の財政を圧迫していたからです。

「ワイルドサイドを—」では、NHSでの診療の受けにくさが詳しく説明されていました。

3.無料で病院に行ける!でも予約の予約が必要って…?

10年前には、朝一にNHSに向かい、診療の予約を取るために長蛇の列に並んでいたそうですが、今は、診療の予約を取ることができるかどうか確認するための電話をする約束を取りに行くために朝一に並びにいくとのこと。

しかも、この電話は応対係の時間が空いた時にするもので、時間は決められません。だから電話が来た時、運転中だったり仕事のミーティング中で取れなかったという場合、リストの次の人に電話することとなり、大事なチェックの機会を逃してしまうことになります。また幸い診療予約が取れたとしても、診療日は5週間後だとか。

そのため、今すぐにでも診療を受ける必要があるならプライベートの病院に行ってくださいね、ということです。

しかし、もしそれが、癌治療だったり、手術が伴うものなら、自費で50万近く出さなければいけなくなります。

だから、おっさんおばさんは健康志向になる以外、選択肢はないのです。大好きなビールともお別れ、おっさんもおばさんもグリーンスムージーを飲む時代に突入です。

…いやぁ、イギリスは大変だなぁ〜。でもどうやら、日本も他人事ではないようで…?

後編に続く!

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