骨活のすすめ―骨粗しょう症対策[実践編]

骨活のすすめ―骨粗しょう症対策[実践編]
2021.11.05

骨活のすすめ―骨粗しょう症対策[実践編]

1本の骨が新陳代謝で入れ替わるには3~4カ月かかり、全身の206本の骨が入れ替わるのには、約3年~5年かかると言われています。
日々の運動と骨を刺激する習慣の積み重ねで、骨代謝を促すことができます。
ところが、頑張って2~3日はできても、暮らしの中で継続することはとても大変です。
コツは、日頃の生活習慣の中に組み込んでルーティーンにすること。
筆者自身が行っていることをいくつかご紹介しますので、考え方を参考にしてみてください。

今日から始めよう骨活!―運動編

行う内容やタイミング・回数は、皆さんの体調と生活習慣に適したやり方を自分で作り上げることが大切です。

●鎌田式かかと落とし体操
医師の鎌田實先生が実践している骨粗しょう症予防の体操です。
椅子の背や台、壁などにつかまり、背すじを伸ばして立ち、つま先を上げてから、次にかかとを上げて2~3秒キープ、その後かかとを床にストンと重心をかけながら落とします。骨は軽い衝撃を受けると骨代謝が促され、強くなることがわかっています。同時に、この運動は「第2の心臓」と言われるふくらはぎの筋肉も強化されます。
回数は1日30回程度が目安です。骨の弱い人がやりすぎるのは逆効果ですから、ご自分の体調に合わせて、多くても50回程度までにしましょう。

筆者はこれを、毎日入浴時に脱衣所で行うことを生活習慣に組み込みました。ここに来たらルーティーンで必ず10~30回は行うと決めています。今では、やらないと気持ち悪い感じです。
他にも、例えばトイレで、水やり時に、電子レンジ使用中になど、毎日必ずやることに加えれば、それが習慣になります。

●簡単なバランス立ちポーズ
1本足で体重を支えることで、骨折リスクの高い大腿骨を強くすることができます。
背すじを伸ばし、まっすぐ立って、お腹を軽くへこませてから、重心を片足に移します。ゆっくりともう一方の膝を上げ、両手で抱えてバランスを保ちます(写真左)。慣れないうちは片手で抱え、もう一方の手は椅子の背や台、壁などにつかまって行いましょう(写真中)。膝を高く上げられない方は、数センチ足を床から離すだけでOK(写真右)。必ず左右両方行います。各60秒ずつ行っても2分しかかかりません。揺れてバランスを崩してもOK。揺れながらも踏ん張ることが大切です。

●ウォーキング
ウォーキングはシニアに最も安全な有酸素運動であり、自重で骨を刺激する運動でもあります。
景色を眺めたり、道端の草花の写真を撮ったりといった楽しみもあるのですが、途中15分位、一生懸命歩く時間を作ります。普段より歩幅を10センチ程度増やして、大股で歩きます。早歩きとゆっくり歩きを3分ずつ位交互に繰り返しましょう。
普段の生活で、階段を下りる際には、少しかかとに刺激がかかるようにして下りてみるのもお勧め。

今日から始めよう骨活!―日光浴編

ビタミンDは、カルシウムの吸収をよくする働きがあるので、骨を作るためには欠かせない成分です。人間の体は日光を浴びることでビタミンDを作り出すことができますから、夏なら木陰で30分、冬なら1時間程度、日に当たるだけでじゅうぶんと言われています(目安は骨粗鬆症財団HPより)。

ただし、ガラスは紫外線をあまり通さないため、窓越しの日光浴では効果が望めません。
一方で、紫外線を浴びることは皮膚がんや目の病気のリスクが高まるというデメリットもあります。

その兼ね合いを考えて筆者が実践しているのは、バルコニーの日なたと日陰の境目にヨガマットを敷き、足の部分だけ日に当たるようにして、仰向けやうつ伏せのヨガを数十分行っています。
日光浴は手の平だけでもOKと言う医師もいますから、部分的な日向ぼっこをお勧めします。せめて胸から上には当たらないように工夫しましょう。

私たちの体は加齢により、体内時計の調節機能が弱まることで質の良い睡眠がとれなくなります。
日光を浴びることで、睡眠ホルモン=メラトニンの原料になるセロトニンが作られ、だいたい12時間後になると、それがメラトニンに変わり熟睡できます。骨は夜間眠っているあいだに骨形成が進みますから、骨を作るのを促すためにも午前中の日光浴がお勧めです。

今日から始めよう骨活!―栄養編

牛乳や乳製品といったカルシウムを摂っていれば大丈夫!そう思っていたら大間違いです。

骨活のために必要な栄養素は3つ。骨の元になるカルシウムはもちろんのこと、それに加えてビタミンDとビタミンKが必須です。

日光浴編でも触れましたが、ビタミンDは、体に吸収されにくいカルシウムの吸収を促進する役割と排出を減らす役割を担っています。特にシニア世代は、血液中のビタミンD濃度が低い人が多いのです。 豊富に含まれているのは、うなぎの蒲焼き、サケ、サンマ、マグロ、メカジキなどの魚類、干しシイタケ、まいたけ、エリンギ、しめじ、キクラゲなどのきのこ類です。

また、ビタミンKは、カルシウムが骨に沈着するのを助ける働きがあります。そのため、ビタミンKが不足していると、せっかく摂ったカルシウムは流れてしまい、骨に定着しません。多く含む食品は、ほうれんそう、小松菜、ブロッコリー、ニラ、モロヘイヤ、サニーレタス、キャベツ等の緑黄色野菜類と、納豆、わかめ等。
筆者のお勧めは、サケの中骨水煮缶です。これを使ってブロッコリーやサニーレタスと合わせてサラダにしたり、キャベツや小松菜と炒めたり、おろし納豆と和えたりすれば、1品で手軽にカルシウム、ビタミンDとKの3栄養素が摂れます。

また、卵には1個で1.1マイクログラムのビタミンDと、8マイクログラムのビタミンKが含まれています。良質なたんぱく質も多いので筋力アップにもなり、一石三鳥の食材です。
ただし、ビタミンKについては、慢性腎臓病のある人はカリウムの摂取制限があるなど、摂り過ぎに注意が必要な場合があります。持病のある方、特別な薬を飲んでいる方は、医師に確認しておくと安心です。

最後に、骨粗しょう症を予防するために控えたい嗜好品について。
アルコールやカフェインにはカルシウムの尿への排出を促す働きがありますから、過剰摂取には要注意です。

<参考文献>
●「シニアの骨粗しょう症・圧迫骨折を防ぐ!(別冊NHKきょうの健康)」NHK出版
●日刊スポーツコラム「鎌田實:認知機能を落とさない生き方」
●公益財団法人骨粗鬆症財団HP
●東大阪病院HP骨粗鬆症について

ストレスマネジメント / 三浦真津美 先生

<活動内容>
自身の経験から、中高年・シニア世代は新たなライフ・ステージに向かうにあたって、弱りがちな心と体をケアすることが必要と思い、「エムズ・セルフケア」を設立。
ヨガをベースに、呼吸法、アロマ、セルフマッサージ、エクササイズ、メディテーションなど、様々な観点から、セルフケアやストレスマネージメントについて指導を行っている。

<所属>
エムズ・セルフケア

Webサイト

PAGE TOP