ヒトのカラダはこうして壊れる

ヒトのカラダはこうして壊れる
2021.11.05

ヒトのカラダはこうして壊れる

整形外科医としてヒトの立ち姿勢をレントゲンで数年おきに見ていくと、ヒトの背ぼね・関節はどのように変形し壊れていくのかがわかります。
これは重力を加味して立ちながら撮影する特殊なレントゲンでないとわかりません。
この変化を姿勢のアンチエイジングとして作り上げたのが「ノントリックモーション・エクササイズ」です。

ヒトのカラダを知るには、動物の骨格構造と動きを見る

私たちの骨の構造は2億年前の爬虫類誕生からほとんど変わっていません。
ワニの骨格は頭蓋骨から背ぼね、骨盤と並び、肩甲骨から前足、さらに骨盤からは後ろ足。
哺乳類の進化の過程を見てもこの骨の構造は2億年の間変わりありません。

2億年の間、4つ足の骨格構造で「立ち座り歩く」をし、その機能を成熟させてきました。
この長い年月に比べると、2足歩行し始めたのは、ほんのわずかの時間です。
つまり、私たちの骨格構造は4つ足用にできているため、2足歩行では不具合が出てくるのが当然と言えます。
ヒトの骨の構造から老化を防ぐ秘密を解き明かすのは至難の技ですが、4つ足動物の骨格、動きを観察すると案外簡単に見つけることができるのです。

ヒトがかかとをついて立つ理由

4つ足歩行の動物と、2足歩行のヒトとの姿勢で異なる点は、動物はかかとを接地せず、ゆびを接地して立ち、歩くことです。ヒトのようにかかとを接地して移動する動物はごく一部の例外があるだけでとても珍しいことなのです。
では、ヒトはなぜかかとをついて立ち、歩くのでしょうか。
それは2億年も4つ足で生活していたにも関わらず、前足を地面からはなしたため、安定性を強化する必要があったためです。つまり、かかとの接地は前足の代わりの対策だったのです。
バイオメカニクスの研究では、過剰な足ゆびの刺激は逆に体幹機能を低下させると考えられています。
そのため、ヒトが足ゆびだけで歩行するのはカラダに大きいな負担を与えることになることが考えられます。全体重を2本の足だけで支えるにはかかと接地が必要だったのです。

ゆびを刺激すると体幹が安定する

2000年以降、急速にバイオメカニクスの分野で足ゆびの刺激が体幹を安定させ、転倒を予防し、スポーツのパフォーマンスを上げることが科学的に証明され論文発表がなされています。
これは四つ足動物が前足、後ろ足のゆびを接地させて動くことを想定した本来の自然のメカニズムと言えます。
それが本当なら足のゆびだけでなく、手の指にも同じ機能があるはずです。
あなたがテーブルの前に座っているとしたら、ピアノを弾くように両手の指でテーブルを下方向にじんわりと押さえてみてください。
体幹に力が入っていることが簡単にわかるでしょう。

骨の構造から何がわかる?

固い頭蓋骨、管状になって連なる背ぼね。
何をこんな頑丈に守っているのでしょうか?

脳、脊髄です。

動物のカラダでこんなに頑丈に守られている臓器はありません。

動物の骨の構造は、背ぼね・関節の衝撃を減らし、脳、脊髄を振動から守る仕組みが詰まっているのです。
前足、後ろ足が地面に触れることで、関節、肩甲骨、骨盤の周りのインナーマッスルに伝わり、体幹を安定させ脳、脊髄への衝撃を吸収していると仮定するとストーリーがつながります。
前足、後ろ足のゆびで「立ち座り歩く」をしている4つ足動物には、体幹を安定させる機能が充実しているのです。

浮きゆびで始まる姿勢の老化

ヒトは手を地面から離して生活することで、手の指からの刺激で体幹を安定させる機能を捨ててしまいました。
しかし、足ゆびからの刺激は体幹をいい緊張状態に保ち、脳、脊髄の振動を防ぎ、背ぼね・関節の負担を減らしてくれます。
浮きゆびとは、日本人の8割に見られる全ての足ゆびを接地せずに過ごす、トリックモーション(代償動作)の一つです。
浮きゆびの状態で「立ち座り歩く」をするとどうなるでしょう。
足ゆびの刺激が減るため体幹への緊張は伝わらず、背ぼね・関節の負荷が増え、数十年の経過で姿勢の老化が一気に進んでしまいます。

浮きゆびのトリックモーションから生じる変形は、
①外反母趾、内反小趾
②O脚、X脚
③猫背、円背
④椎間板ヘルニア
症状で多いのは
①肩こり
②腰痛、ぎっくり腰
③四十肩、五十肩
④膝の軟骨のすり減りによる痛み

浮きゆびから生じる障害を防ぐために作り上げたのが「ノントリックモーション・エクササイズ」です。
このエクササイズなしにウォーキング、スポーツをすることで様々な障害が生じます。
手術なしでいつまでも歩くため、整形外科医が考えた「ノントリックモーション・エクササイズ」を体験してみてください。

フィットネス / 橋間誠 先生

<活動内容>
整形外科医・内科医として患者の健康を維持・改善させることに尽力してきた。39歳のとき、運動療法は最先端の手術や新薬にも匹敵する有効な治療であることを確信し、フィットネススタジオをクリニックに併設。

<所属>
ムーヴ・ライク・フローイング
橋間診療所

Webサイト

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