もっと簡単に栄養のある介護食を準備するポイント【駒沢女子大学教授 工藤美香先生インタビュー:その3】【PR】

もっと簡単に栄養のある介護食を準備するポイント【駒沢女子大学教授 工藤美香先生インタビュー:その3】【PR】
2025.02.13

もっと簡単に栄養のある介護食を準備するポイント【駒沢女子大学教授 工藤美香先生インタビュー:その3】【PR】

高齢者の栄養不足を補うには、ご飯+メインのおかず+野菜1品でバランス良く食事を摂ることが大切です。しかし、噛みやすくて飲みこみやすい介護食を、家族の料理とは別に準備することに大変さを感じている方もいるのではないでしょうか。

そんな在宅介護者が知っておきたい高齢者の食事や栄養について、多くの在宅訪問栄養食事指導の経験がある管理栄養士の工藤美香先生(駒沢女子大学 教授)にお話を伺いました。今回はその中から、簡単なのに栄養が摂れる介護食作りのポイント、そして見た目が悪くなってしまいがちな介護食の改善方法についてご紹介します。

>>インタビュー:その1はこちら

>>インタビュー:その2はこちら

栄養ある介護食作りを簡単にする3つのコツ

コツ1:冷蔵庫にある食材で工夫を

介護食の知識がない場合でも冷蔵庫にある食材で工夫すれば簡単に栄養たっぷりの介護食ができます。

汁物やおじやに栄養をプラスするのであれば、卵を常備しておけば、簡単にたんぱく質をプラスすることができます。

肉類では、ひき肉がおすすめです。温かいところにひき肉を入れてしまうと、固まって肉の粒が固くなってしまいますが、例えば、作り置きの汁物の冷たい状態でひき肉を入れて泡だて器でよくかき混ぜてから温めるとすり流し状になり、汁をすすればたんぱく質も取れます。

野菜をプラスするなら、すりおろしたり、フレーク状になっている野菜を使ったりしても良いでしょう。

大根、タマネギなど根菜類は冷凍しておくとすぐに使えるので便利です。冷凍しておくと、繊維が崩れて短時間で調理できるようになります。タマネギは串切りではなく輪切りにしておくのがポイントです。レンコン等はすりおろして魚などの上にかけて蒸すとやわらかく食べられます。圧力鍋を使えば短時間で、ほったらかし調理ができます。

コツ2:家族と同じ食事を介護食に

家族と同じ食事を介護食にするには、食卓で最後の調整(手元調理)をすると良いでしょう。例えば、コロッケなどを食卓ではさみで切る、潰す、あんかけするといったひと工夫で、他の家族と同じ食事が介護食になります。うどんはその場で短く切ってあんかけ風にしても良いでしょう。水分に加えると、とろみがつく「とろみ調整食品」が薬局やドラックストア、通販で販売されています。温かいものでも、冷たいものでも加えるだけでとろみがつきます。家族と同じ食事を、目の前で調整するので、同じ食事がたべられるという自信につながるというのもメリットです。

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コツ3:レトルト食品などの活用を

家族と同じ食事が難しい場合には、スーパーやコンビニで売っている一人用のレトルトパックのサバの味噌煮やハンバーグなどを利用しましょう。そのまま袋の上から潰してしまえば、手も汚さずに簡単に準備できます。

レトルトのサバの味噌煮、ハンバーグ、ポテトサラダは常備しておくと便利です。レトルトのカレーやシチューは、他のおかずの上にかけたりすると食べやすくなります。焼き鳥などかためで注意が必要なものもありますが、缶詰は柔らかくなっているものが多いので使いやすいです。また、粉末のコーンスープ(粒なし)を熱湯で濃いめに溶いておかずと混ぜながら食べると、とろみがついて食べやすくなります。

目で介護食を楽しんでもらうには

ペーストを成型する

食事をミキサーにかけてとろみをつけている(ペースト食)という方は、どうしても見た目が悪くなってしまいます。ペースト食を、ゼリー状にして肉や魚の形に整えて見た目を良くする方法がありますが、家庭では難しいものです。

見た目をよく形成したペースト食は、通信販売で購入することが可能です。お弁当スタイルになっているものもあるので、活用すると良いでしょう。ただし、噛む力や飲み込む力に合った製品を選ばなくてはなりません。

製品のパッケージにユニバーサルデザインフード(日本介護食品協議会)※の区分が記載してあるので、参考にしてください。

※ユニバーサルデザインフード(日本介護食品協議会) 日常の食事から介護食まで幅広く使える、食べやすさに配慮した食品のこと(参考:ユニバーサルデザインフードとは|日本介護食品協議会について|日本介護食品協議会)

器の工夫をしてみましょう

ペースト状やつぶした形状の食事の方には他にも、色や柄が付いているものなど、器を工夫して華やかにするのがおすすめです。ただし、認知症の方の場合には、料理と認識できるように柄がなくシンプルなものにします。手が不自由で食具が使いにくい場合にはすくう動作がしづらいので、浅い食器ではなく、ふちが深いものを選ぶと良いでしょう。介護用の食器も販売されています。

他にも自分で食べるということも大切です。手や足にマヒがあっても、工夫をすれば自分で食べられるという喜びを感じることができます。できることを維持してもらうためにも、自分で食べてもらうようにしましょう。また、介助をして食事をすると誤嚥(ごえん:飲食物が誤って気管に入ること)してしまう場合には、自分のタイミングで食べることによって、誤嚥をせずに食べられる場合があります。

どうしても食べるのに時間がかかってしまう人は、自分で食べるのは最初だけで、あとは介助でも本人は喜びを感じる事ができるでしょう。

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介護食で悩んだ時の相談先

まずは相談しやすい人に話しましょう

食べることについては、医師・看護師・管理栄養士・リハビリ職・介護職・ご家族(本人)がチームを組んで支援しています。誰に相談すればよいのかわからない時には、訪問看護師さんやヘルパーさんなどの相談しやすい人に話をして、そこからケアマネジャーなどを通して専門家に繋げてもらうようにしましょう。

介護は一人でやるものではありません。遠慮なくどうしたらいいのかを相談してください。

介護食で悩んだら誰かに相談を

介護をしている方の中には、働き盛りの方も多くいます。食事作りはただでさえ大変なのに、家族の食事とは別に、介護食の準備に負担を感じている方も多いのではないでしょうか。今回は栄養のある介護食作りを簡単に準備するポイント、介護食の見た目を改善するポイントを紹介してもらいました。要介護者の食事・栄養について悩んだ時には、とにかく話しやすい人に相談をして専門職に繋げることが大切です。

今回は管理栄養士の工藤美香先生にご協力いただきました。皆さんの毎日の介護や介護食作りのヒントになれれば幸いです。

工藤 美香先生(管理栄養士・ 在宅訪問管理栄養士)

病院・施設・在宅の栄養管理に長く携わっており、急性期病院勤務時にはNST(栄養サポートチーム)の中心メンバーとして活躍。現在は駒沢女子大学 健康栄養学科の教授として、臨床栄養学概論や臨床栄養学などの指導を担当するほか、日本在宅栄養管理学会理事も務めている。

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