東京都が描く認知症に対する優しい社会とは 「注文をまちがえる料理店 at 東京都庁」レポート

東京都が描く認知症に対する優しい社会とは 「注文をまちがえる料理店 at 東京都庁」レポート
2024.09.18

東京都が描く認知症に対する優しい社会とは 「注文をまちがえる料理店 at 東京都庁」レポート

東京都は、認知症の人が希望を持って安心して暮らせる社会の実現を目指し、様々な取り組みを行っています。その一環として、認知症に対する正しい理解の促進のため、平成19年度から「世界アルツハイマーデー」を記念したイベントを毎年開催しており、今回は、東京都認知症シンポジウム及び認知症の人の社会参加の企画として「注文をまちがえる料理店@東京都庁」を開催しました。この取り組みを通じて東京都が描く、認知症に対する優しい社会とはどのようなものなのか、紐解いていきます。

「注文をまちがえる料理店」とは?

「注文をまちがえる料理店」は、その名の通り、オーダーや配膳を時々間違えるレストランです。ホールで働くスタッフは全員認知症の方々であり、彼らがオーダーを受け、料理を配膳する中で時折ミスが発生します。しかし、そのミスに対してお客さんが「ま、いっか」と笑顔で受け入れることで、認知症の人々が安心して社会に参加できる温かい雰囲気が生まれます。このイベントは、認知症の方々が持つ可能性を最大限に引き出し、彼らが社会の一員として尊重される大切さを伝えるものです。

東京都が推進する認知症ケアと地域づくり

東京都では、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを推進しています。その一環として、認知症の発症や進行を遅らせるための研究や技術の導入に力を入れています。特にAIを活用したケアの向上が注目されており、診断やサポートの効率化に貢献しています。これにより、認知症の方が自立して暮らせる環境づくりが進んでおり、家族や地域が支える形で共に生きる社会を目指しています。

詳細は「東京都認知症ナビ」(https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/index.html)にて確認できます。

世界アルツハイマーデーについて

9月21日は「世界アルツハイマーデー」です。国際アルツハイマー病協会が1994年に制定し、世界保健機関(WHO)の後援を受けて「記念日」として宣言されました。世界中の70以上の国や地域で、認知症の理解促進や患者、介護者の支援活動が行われています。東京都もこの日を記念し、認知症に対する理解を深めるための様々な取り組みを展開しています。

関係者のコメント – 「注文をまちがえる料理店」代表理事と東京都担当課長の声

一般社団法人「注文をまちがえる料理店」代表理事の和田行男さんは、「今年の1月に認知症基本法が施行された中で、都庁の食堂でこういったイベントができることはとても素晴らしいと思います。レストランはご飯を食べるだけのレストランではありません。ぜひ、(認知症の)店員の方と交流して楽しいひと時をすごしてもらえれば」と語った。

さらに、東京都の認知症施策推進担当課長 小澤耕平氏は次のように述べています。「認知症の方の社会参加を進めることを考えた時に当事者側が何かしなくてはいけないということではなく、社会の方が変わる必要がある」

東京都小池知事も「合ってました!」とコメント

小池百合子都知事も出席し食事をした。席に着くと「注文をまちがえる料理店」のベロを出したトレードマークを見て「このマークかわいいですね」とコメントし、味噌麻婆なす丼を注文。数分後、無事に注文通りの食事が配膳されると小池都知事は「合ってました」と一言。

取材を終えて

「注文をまちがえる料理店」は、認知症の人々が社会で活躍し、受け入れられる未来を実現するための象徴的な取り組みです。東京都が目指す優しい社会とは、認知症になっても尊厳を持ち、安心して暮らせる地域づくりです。このイベントを通じて、社会全体が認知症に対する理解を深め、共に支え合う社会の構築に一歩近づいていくでしょう。

寛容な社会の構築はもちろん大切なことであり、目指していくべき姿です。しかし、忘れてしまうということを全て同列に捉えることは話が変わってくるのではないでしょうか。例えば、今まで築いてきた大切な家族や友人、周囲の人との関係性とご飯の内容を同じフェーズで話すのはやはり違うように感じます。認知症の方が社会と接点を持つ機会を増やすという点で今回の取り組みは興味深いものの、いざ身近な人が認知症になり家族を忘れてしまったり記憶にある姿と乖離していく様子を目の当たりにすることは周囲の人にとってそう簡単に受け入れられることではないでしょう。

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